FXをやってみたい!ちょっと待ってください。まず、基本知識とリスクを知ってからでも遅くないですよ。まずは、2015年のスイス・ショックの衝撃的な動画からその背景とリスク関連の説明をさせていただきます。初参入をされる方は、動画を見てからFXに参戦されるかどうかを決めてくださいね。(まずは、「FXについて・その1」になります。)
幾分寒くなり、日が暮れるのも本当に早くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
*Uran*は暑さに比べると寒さには割と強い方ですが、それでもやはり着込んでしまいますね。
しかしながら、今は風邪をひいても熱が出れば「発熱外来」となり、病院にかかるのも大変ですから、なるべく風邪やその他の病気にも気を付けましょうね。
では、本日のテーマでございますが、よく副業でハイリスク・ハイリターンの代表として話題に上がります、FXです。
FXとは「Foreign Exchange」を略したもので、日本語ですと、「外国為替証拠金取引」となります。
通貨を買ったり売ったりしたときに発生する差額によって利益をねらう取引の事を言います。
株式取引とも似ていますが、株と異なるのは、通貨のペアで利益・損が決まることですね。
また、FXはレバレッジと呼ばれる取引によって、手持ちの金額よりも大きな金額の取引も可能ですが、もちろんここにもリスクはあります。
*Uran*は株式取引はやったことがないので詳しくは分かりませんが、にて非なるもののようですね。
では、FXにすでに参加されている方、これから参加されようと考え中の方、先ず、この動画をご覧ください。
上記の映像ですが、2015年1月15日、スイス国立銀行(スイス中銀)が突如として対フラン為替への介入廃止を発表しまた時のチャートと、その際の個人トレーダーさんたちの阿鼻叫喚の様子です。
スイス中銀は、当時1ユーロ=1.2スイスフランを上限とし無限介入をする(これは、記憶に新しい、「ギリシャショック」に対する、自国の通貨を守るための手段でした。)という2011年の発表からずっと為替介入を行ってきましたが、この日のこの時間、急遽その決定を撤回しました。
その結果、市場は大混乱。
レートが、一気に1ユーロ=0.8052フランまで急騰し、 1ユーロ=1.2スイスフラン を信じ切っていた多くの投資家が変動に対処できなかったのです。(米ドル対円で例えれば、115円が78円くらいになる変動がいきなり起こったと想像していただければと存じます。)
結果として、一部の運のいい投資家を除く、多くの個人投資家やヘッジファンドと言われる大口投資家・企業投資家が多額の不利益・負債を被ることになった歴史的にも類を見ない大惨事となりました。
では、そもそも何故このようなことが起きたのか。
スイス中央銀行 【SNB(エスエヌビー/Swiss National Bank)】側からの事情を説明しますね。
記憶に新しいように、2008年のリーマンショック、2010年からの欧州債務危機・ギリシャショックといった金融危機を受けて投資家たちはリスクの回避から、世界的にも安全資産と言われる円やスイスフランへを持つようになりました。
円高に悩まされた日銀(日本銀行)も同様でしたが、自国のスイスフラン高に悩まされていたスイス中銀は2011年9月にスイスフランの対ユーロでの上限値(ユーロの対スイスフランの下限)を1.2000フランにすると宣言します。
そして、スイスフランの無制限介入を実施するようになりました。
これ以前からもスイス中央銀行の強気は有名でした。
しかし、この2011年の無限介入から、スイス中央銀行、および、総裁のトマス・ジョルダン(トーマス・ジョーダン)の名前を聞いただけで、スイスフランから手を引くヘッジファンドも多かったようですね。
現在でも、「スイス中銀の介入」と聞くと、ヘッジファンドを始め、大口投資家たちは、2~3日はスイスフランに手を出さなくなると聞きます。
それに、スイスは何といっても永世中立国ですから、中央銀行もアメリカやEU、イギリスの言いなりにはなりません。(そこが、日銀との大きな違いですね。)
さて、話を戻しますね。
スイスフランの上昇を抑えるためのスイス中銀による介入の発表となりますので、「スイスフラン売りのユーロ買い」の売買が発生することとなります。
1.2000以下になることがないのでこの動きは当然ですね。下がりそうな場合は、スイス中銀が介入してくれて、1.2000まで戻してくれるんですから、安全というわけです。
スイス中銀としても、単に自国紙幣を刷り続ければいいだけですから、理論上は資金源が枯渇する心配はありません。そのため、無制限にこの介入を実施し続けることは可能だったわけですね。
しかしその結果、1つの問題が起きてしまいます。
1.2000以下になりそうになったら無限に介入、つまりスイスフランを売ってユーロを買いますので、当然、スイス中銀のユーロ建ての資産は大きく膨らむこととなりますね。
このような状況になりますと、ユーロの下落がスイスの国民資産の減少につながることになりますから、スイス国民の間でも問題とされるようにってきます。
そこで、2014年11月にはスイス中銀の資産に一定比率の金を組み入れるべきかどうかの国民投票が行われたのです。
その結果は否決となりました。しかし、投票が行われたこと自体、スイス中銀に対して、国民による政治的なプレッシャーが強まっていったことは容易に想像できるものです。
また並行して、スイスフランを取り囲むこのような環境の中で、2015年1月22日に開催されるECB【欧州中央銀行:European Central Bank、略称:ECB】政策理事会にて、ECBが国債買い入れによる量的緩和策を導入するとの見通しが強まり、ユーロのさらなる下落の可能性が高まったのです。
そうして、ついにスイス中銀は2015年1月15日にユーロ買い介入の方針を断念するという決断をすることになったのではと推測されています。
では、なぜここまで大騒ぎとなったのか。
予想はつくと思いますが、スイスフランショック前の為替市場では、ユーロ:スイスフランの通貨ペアは、明確な水準の言及があるスイス中銀の無制限介入があることから、抜け目ない市場参加者、つまりトレーダーさんたち(大口トレーダーも個人トレーダーも)に安全なペアとして利用される状況となっていました。絶対に、1.2000を割らせないと、あのスイス中銀が言ったのですから、その信頼は絶大なものがあったんですね。
つまり、買いポジション(ロング と言います。反対の売りは、ショート と言います。)で持っておき、、少しでも利益が出たらポジションをクローズ、つまり売るといった安易なトレードで利益を出す事が出来、しかも損が出る可能性も限りなく少ない通貨ペアであったわけなんですね。
但し、欠点としては、この手法で狙える変動幅は極めて小さかったんです。
そのため、トレーダーさんたちは、利益を伸ばすため高レバレッジの取引を行うこととなり、大量のユーロスイス買いのポジションが積み上がっていたという事になります。いわゆる、ハイレバの取引ですね。
例えば、10万円で取引が出来る範囲は、通常10万円までとなりますが、FXでは証拠金取引と言って、手持ちの証拠金にレバレッジをかけて、10万円の資金で、100倍の取引、つまり1,000万円までの取引が出来るシステムがあるんです。
勿論、絶対安全と思われていた通貨のペアですから、どんなトレーダーさんたちも、ハイレバで取引を行う事となります。
ここで、ハイレバの落とし穴ですが、取引が100倍ならば、自分が持っているポジションと反対方向に振れた場合、つまり、買っていたのに、価値が下がってしまった場合ですね、そのマイナス金額が実際に所有している金額を割ってしまった場合、勝手に決済されてしまいます。ここまで下がったら決済するという指値をしていなかった場合、ロスカットとなり、所持金が0円となってしまうという事です。
話を戻しますね。
そのような、いわば絶対安全と思われていた通貨ペアで、突然の上限値撤廃の発表があったわけです。
まさかこんなことが起こるなんて・・・通常、外国為替トレーダーという方々は、リスクに対しての警戒感はものすごく持っている方たちですが、この通貨ペアに関してはリスクへの警戒感が極度に低下していた状態であったと思われます。
そのような中で突然に思惑が外れることとなったトレーダーさんたちによる、大量のユーロ:スイスフランでのユーロ買いポジションの損失確定の売りが一気に市場に放出されたため、スイスフランに対してユーロ(ユーロ:スイスフラン相場)はたかだか20分程度で最大で41%も下落する事態となったのです。
また、これが日本では夕方の18:30頃、つまり、仕事をされている方などは残業中、もしくは仕事が終わってホッと一息中、帰宅中といったこともあり、普段通り家に帰ってFXの画面を見ると・・・
とんでもないことになっていた・・・と、ぼーぜんと立ち尽くすトレーダーさんたちが多かったというわけです。
もちろん、スイスショックによって損をされたトレーダーさん達もおられますが、本当にごく一部のトレーダーの方は凄い利益を出す事が出来たといいます。
たまたま状況をFXの画面で見ていて、サーキットブレーカー(急激な変動による変動のによる、システム自体の取引停止)発動前に、売り注文を入れた方など、一番上でご確認いただいた動画の中にもおられましたが、ごく少数ですが、存在したようです。
そして、ここでもう1つ、日本のトレーダーさんたちを二分する事態が起きました。
海外口座を使っていた方と、国内口座を使っていた方です。
日本のFX口座の一番の特徴ですがスプレッド(売り買いの幅)が狭いこと、ですね。
ただ、これには落とし穴もあります。
通常は狭いスプレッドですが、値動きの振れ幅が大きくなると、スプレッドは自動的に広がり、通常売買できた範囲で、取引が出来なくなるのです。
また、今回のように、急激な変動では、ロスカット(証拠金不足で損失が一定水準に達した時、ポジションが強制決済されるルール)が発動するのですが、今回のような異常ともいえる変動の場合、一定水準以下の値段で強制決済されます。
その結果、決済された時点で、通常は悪くても0円となるようにトレーダーさんたちは設定をされているはずが、マイナスの状態で決済され、追証と言われる、FX会社への負債が残ることとなるのです。
中には証拠金を大きく上回る、何百万円、何千万円というマイナスポジションが生まれたトレーダーも少なくはなく、しかも、国内FX業者の多くは、そのポジションをトレーダーに突きつけ、損失額の即刻の支払いを求めたのです。
実際、この日、翌日は電車が人身事故で止まる路線が相次いだこともよく知られており、それでなくても追証の支払いのため、一生がほぼ台無しになるトレーダーさんも大量発生しました。
海外のFX会社は、ゼロカットを言うものを取り入れている会社が多く、今回のようなことが起こった場合でも、追証が発生した分はFX会社の負担となり、ゼロカットを取り入れている会社では、トレーダーさんたちへの追証の支払いは求めません。
ゼロカットを発動したとき、顧客のトレーダーが出した損失を負担しなければならないのはFX業者側になります。
そのため、もしもトレーダーさんたちの追証が莫大なものになった場合、損失額を補填し切れず、最悪の場合破綻してしまうケースもあるんですね。
実際に2015年のスイスフランショックでは、大手海外FXブローカーのアルパリUKが破綻してしまいました。
サッカーファンの間では有名だと思いますが、プレミアリーグ、ウエストハムユナイテッドのスポンサーだった会社ですね。
ただ、海外のFX会社はMT4というツールを使って、インターバンクで直取引をするようになっている会社が多く、日本のFX会社のように、平常時のスプレッドの幅が狭いという事はなく、日本のFX会社に比べるとかなり広めになっています。
今回は、FXその1として、スイス・ショックを中心にFXについて説明をさせていただきました。
正直、*Uran*はFXは副業として推奨はしていませんが、人には向き不向きがあるのも事実でございます。
FXに参戦したいという方もいらっしゃると思い、この記事を書かせていただいた次第でございます。
もちろん、自己責任でされる分には止めることもしませんが、参戦される場合はリスク管理を必ずきちんとしたうえでお願いいたします。
次回以降は数回に分けて、国内業者と海外業者の違いや、用語の解説、各通貨(各国のドル・ポンドなど)の特徴、海外口座に多いMT4ツールの使い方などの解説をさせていただきますね。
それでは今回はひとまず、この辺で失礼いたします。